シリーズ徳山村 平成18年最終回 平成18年12月9日
う〜ん、「シリーズ徳山村」なんて、なんかニュースの特集みたいでカッコいいな(と、勝手に思っている)。
おのやんは焦っていた。
12月はじめの新聞に、最後の徳山村の冬と称して、徳山ダムに沈む旧徳山小学校の写真が載っていたからだ。
単なる写真ではない、雪化粧の写真だったからだ。
おのやんは、徳山ダムで試験湛水(水を溜めること)が始まる前に急に徳山ダムラーになってしまい、水に沈みゆく土地に立ち、歩き、写真を取り、二度と見ることの出来なくなるであろう風景を記録してきた。
(シリーズ徳山村を参照)
旧徳山小学校を望める場所に「徳山会館」という建物(18年12月現在まだ一部のみの完成だが)が建ち、湛水開始後はそこの場所から水面が上昇して行く様子を写真に撮ってきた。
おのやんは新聞を見て焦っていた。
徳山ダムにもう雪が降っている〜!!
おのやんのメインカーであるハイエースはノーマルタイヤである。チェーンはあるが、道中の勾配やカーブ、狭路を考えると、とてもハイエースで行く勇気は無い。
嫁はんの通勤用軽カーはスタッドレスを履いているが、とても「ダムに行くから車を貸して」なんて口走れなかった。パンチが来そう・・。
そうだ!かなり昔に嫁はん用に買った原付スクーターがあったな。買ったものの、結局ほとんど乗らず、嫁はんの実家に置いてあるはずだ。これを借りていけば、両足が着くからたとえ雪山でもゆっくり行けばひどく転ぶこともあるまい。燃費はどれくらいだったかな〜。なんて考えながら、嫁はんに「バイク貸して、ダムに行くから」と言ったら、「あほ」と言われてしまった・・
「他人に迷惑をかけるような事故を起こしかねんから、車を貸すから、車で行け!」とのお言葉をいただきました・・感謝!
徳山ダムが雪に埋まる前に写真を撮りにレッツゴー!(嫁はんの車で)
念には念を入れて、出発前に一番安い金属チェーンを買い、シャベル(金属製)も持参の上で訪問することにした。
もう通い慣れた徳山ダムへの道であるが、途中の揖斐川町までは、ナビの気まぐれなのか、車を走らせながら検索するためなのか、検索する度にルートが違う。
早くルートを固定したいものだなぁと思いながら、これだ!というルートを確定出来ずにいた。
今回も今まで通ったことのないルートを呈示され、それに沿って車を進めていた。
イイ!
裏道を通って一直線に揖斐川町に向かう感じで、しかも覚えやすかった。なかなかイイ!ルートだ。
これからは、このルートで行こう!!
道中、木曽川を越える手前で伊吹山に正対する場面があった。
雪山になってる〜!!
恐怖におののきながら車を進めていく。
揖斐川町に入った。雪は降っていないものの、天候は雨が激しく最悪だ。
いつも撮影する役場付近にある道路状況の電光掲示板を今日も撮影しようと、これまたいつものバス停前に車を停める。
今日も「冠山以遠通行止め」かな〜と思いながら見ると、いつもと違っていた。
「国道303 坂内川上以遠全面通行止」
ん? 初めて見る表示だ。
え?通行止め!?
「坂内・川上」ってどこだっけ? 徳山村へはもう行けないのか??
と思いながらも車を進めていく。
そのうち、さっきの表示は国道303号であったということに気付く。と言うことは、国道417号は大丈夫に違いない。
揖斐川町を抜けると急にカーブや勾配がきつくなり、いよいよ山岳道路に進んでいくことを実感する。
いくつかのトンネルを抜け、道の駅「ふじはし」に車を停める。
よかったぁ〜。この道の駅で既に積雪を覚悟していただけに、この予想外の降雪「0」は嬉しい誤算である。
トイレを済ませ、さらに車を進めていく。
この道の駅を過ぎると程なくして国道303号と分岐し、さらにカーブがきつくなって行く。
ここへ来ても雪が全く降っていないので、積雪の心配を全くしなくなったおのやんであるが、藤橋城のところで衝撃的な看板を見つけてしまった。
「揖斐川町鶴見〜塚間は12月15日から19年3月31日まで冬季通行止
(雪が期日前に降った場合は当日より通行止」
あぶねー。一週間遅かったら通行できなかった・・。ちなみに写真はまさに看板に出ている「鶴見」の場所である。
最後のトンネル、「漆原乙女隧道」を抜け、トンネル直後の交差点を左折、うねうねと道なりに進み、いつものポイント「徳山会館」に辿り着きました。
そしていつもの撮影ポイントに立つと、そこには・・・
うわぁ、しばらく来ないうちにかなり水没してしまいました。旧徳山小学校も1階はすでに水没してしまっています。
もの寂しいBGMがある訳でもありません。
ただただ寒い風の音を全身で感じるだけです。
次にここからの景色を眺められるのは翌春の冬季通行止めが解除された4月です。
水没前に急に旧徳山村に興味を持ち、初めて訪れたのが2006年の8月。
旧徳山の村に立ち、ここがあと数ヶ月でダム湖の底に沈んでしまうんだ、と妙な緊張感があったのを覚えています。
それから何回か人気の全く無くなった土地を歩き、鈴虫が「わが世の春」と言わんばかりに鳴いているのを聞いていると、
お前たちの命はあと僅かなんだよー。水が押し寄せてくるぞー。人間はこんなこと(ダムによって土地を沈めてしまう)をしてしまって、いいのかしらん?と疑問を感じずにはいられませんでした。
そう感じながらも、沈んでゆく風景を興味シンシンで撮影に来てしまうおのやん。
次回は4月に訪れようと思っています。
のはずでしたが、翌12月10日も行ってきました。